背景

1942年4月、大本営・海軍軍令部・聯合艦隊司令部の三者は第二段作戦目標を「米豪遮断」と定め、第二段作戦の足掛かりとなるモレスビー・フロリダ諸島攻略作戦である「MO作戦」を策定に掛かった。しかし聯合艦隊司令部は依然として東太平洋方面への侵攻作戦、「AL・MI作戦」を次期作戦として主張しており、軍令部との対立が見られた。そんなGF首脳部の思惑をよそに作戦準備は着々と進み、陸軍第55師団南海支隊およびMO機動部隊はその出師準備を開始している。一方の米豪軍はフランクリン・ルーズヴェルト大統領肝煎りの作戦であったドゥーリットル中佐指揮による日本本土空襲作戦が、ハワイ東方海面における空母「ホーネット」の被雷大破によって頓挫したことから、国内世論の都合上どこかで大きな戦勝を必要とする焦燥に駆られていた…。

勢力—日本側

大日本帝国陸軍 参謀本部

支那事変以来の陸軍作戦全般を指導してきた帝国陸軍の参謀団。しかし、「陸軍は大陸、海軍は南洋」というセクショナリズムもまた強いことは否めず、第二段作戦に大軍を投入することにも否定的であり、結果として南海支隊を主力とする第17軍のみの派遣にとどまっている。最近は南方作戦(H作戦)がひと段落してようやく一息つけた模様。現在の参謀総長は杉山元大将。

大日本帝国陸軍 第17軍

参謀本部が渋々派遣を承認した南東方面の陸軍主力部隊。東部ニューギニア、ラバウル及びソロモン方面を作戦担任区域とする。後述する南海支隊、川口支隊、そして独立戦車第1中隊、独立山砲兵聯隊などより成る。戦闘序列は未だ発令されておらず、編制と司令官が内定しているのみ。司令官は百武晴吉中将を予定しており、既にラバウルに向けて移動中である。

大日本帝国陸軍 南海支隊

広島第5師団の歩兵第41聯隊(福山)、および善通寺第55師団の歩兵第144聯隊(高知)を基幹とする旅団規模の支隊。歩兵第41聯隊は明治期より続く歴戦の聯隊で、今次戦争ではマレー電撃戦の先鋒を担い、スリム河渡河戦では英印軍第11師団を単独で撃破するなど精鋭の名に恥じぬ働きをしている。歩兵第144聯隊は歴史こそ浅いものの、開戦劈頭のグアム敵前上陸や本年一月のラバウル攻略作戦などの要所に投入され、部隊の士気は極めて旺盛で練度も高い。更に元々山岳戦を得意とする四国の兵であり、山岳の多いニューギニアでの活躍が期待されている。支隊司令官は開戦より本支隊を率いる堀井富太郎少将。

大日本帝国陸軍 川口支隊

精鋭と名高い「菊」兵団こと第18師団より第35旅団司令部および歩兵第124聯隊を抽出し、支隊とした部隊。司令官は川口清健少将。現在はミンダナオ島において掃討作戦を行っているが、まもなく終了し戦力の補充を受けて第17軍に転用される予定である。緒戦ではボルネオ島の主要な油田産出地であるミリと、その付近にあるクチン飛行場を制圧するなどの戦果を挙げている。

大日本帝国海軍 軍令部

軍政部門を担当する海軍省から独立し、軍令部門を担当する海軍の部署。陸軍参謀本部と同じく天皇に直隷する。第二段作戦においてはオーストラリアを連合国から脱落させ、中立化することを目標とした「米豪遮断作戦」を主張し、これを聯合艦隊に容れさせた。MO機動部隊への戦力増強を検討中である。現在の軍令部総長は嶋田繁太郎大将。

大日本帝国海軍 聯合艦隊

帝国海軍の外戦部隊を統括する、世界第3位の大艦隊。本来は軍令部に隷属する立場であるが、緒戦の大戦果からその発言力を高め、全般戦略にまで関与するようになった。第二段作戦においてはアリューシャン・ミッドウェーを攻略し、ついでアラスカ・ハワイを攻略し米本土上陸への足掛かりとする「AL・MI作戦」を主張し、軍令部と激しく対立した。第二段作戦が決定した現在においてもそれに反対を続けているが、渋々作戦準備を行っている。聯合艦隊司令長官は山本五十六大将、参謀長は宇垣纒少将。

大日本帝国海軍 第一航空艦隊

その創設以来真珠湾奇襲、ウェーク攻略、南方作戦支援、ラバウル空襲、インド洋作戦と地球の3分の1を縦横無尽に駆けまわり、帝国海軍の制海権獲得に大きく寄与した空母機動部隊。赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴の空母6隻を基幹とする。その練度は目を瞠るべきものがあり士気も高いが、一方で真珠湾奇襲以来の連戦で搭乗員と乗組員は疲弊している。艦隊司令長官は南雲忠一中将、参謀長は草鹿龍之介少将、航空参謀は源田実中佐、航空隊総隊長(空中指揮官)は淵田美津雄中佐。

大日本帝国海軍 第四艦隊

ポート・モレスビー攻略作戦である「MO作戦」における主力を務める、内南洋警備を主任務とした部隊。開戦劈頭のウェーク島攻略作戦を担任するもこれに失敗し、以後も米機動部隊のマーシャル諸島へのゲリラ的襲来を防げないでいる。しかしこれは艦隊自体の責任というよりも、艦隊に配属される戦力があまりにも少ない(旧式軽巡2隻と1個水雷戦隊が基幹)ことに起因する。艦隊司令長官は親米英・条約派で鳴った井上成美中将。

大日本帝国海軍 第十一航空艦隊

緒戦のフィリピン攻略や南方作戦支援に任じ、零戦隊と陸攻隊の大航続距離・高性能で数々の大戦果を機動部隊とともに挙げてきた基地航空部隊。島伝いに外南洋を攻略していくFS作戦には不可欠の戦力とみなされている。緒戦で英軍の戦艦2隻を屠った鹿屋海軍航空隊や、数々のエース・パイロットを擁する制空専門部隊である台南海軍航空隊など、精鋭部隊が多い。艦隊司令長官は航空主兵論者で支那戦線の二連空長官を務め、隻腕となった塚原二四三中将。

勢力—アメリカ側

合衆国大統領府(ホワイトハウス)

現在の大統領は第32代のフランクリン・ルーズヴェルト。「反戦」を公約に掲げて当選したものの、裏では日本に対する圧力を強め、反戦を表では掲げつつの戦争参加を行った。当初は欧州方面に集中し、イギリスを救援してドイツを圧迫することを意図していたものの、太平洋艦隊主力が緒戦の奇襲で壊滅し、アメリカ西海岸はいつ上陸を受けてもおかしくない状態にまで追い詰められていた。また、国民の厭戦感情は根強く、どこかで戦果を挙げて国民を満足させねば国民の継戦意欲が地に落ち、またルーズヴェルト自身も大統領の座が危うくなるという危機感を持っている。

合衆国海軍作戦部

合衆国艦隊司令長官を兼任するアーネスト・キング海軍大将のブレーンとも呼べる存在。それまで海軍の軍令部門を牽引してきたハロルド・スターク大将が3月に解任されたことにより、合衆国海軍の全権がキングに集中することとなった。キングは対日戦略として防御、攻勢防御、防御攻勢、攻勢の4段階を構想しており、麾下海軍には「防御」に徹するようにという指令を出している。しかしこれは戦果を挙げることを要求する大統領の意にはそぐわないものであり、度々その作戦方針を巡って対立している。

アメリカ太平洋艦隊

緒戦で戦艦8隻をその戦列より失い、実質的な対日主戦力を喪失した太平洋艦隊はその司令長官の首をハズバンド・キンメル海軍大将からチェスター・ニミッツ海軍大将にすげ替え、爾後の作戦を指導した。現在のアメリカ海軍主戦力は空襲の被害を免れた高速空母5隻(レキシントン、サラトガ、ヨークタウン、エンタープライズ、ホーネット)であったが、このうちサラトガが42年1月に、ホーネットが42年4月に東太平洋において敵潜水艦に雷撃されたことにより大破し、ドック入りを余儀なくされている。

アメリカ太平洋艦隊 第11任務部隊(TF11)

「シスター・サラ」こと空母サラトガを主力とした機動部隊であったが、サラトガが1月に伊26潜により雷撃されたことによって解体された。サラトガは6月中に戦線復帰予定であり、それに合わせて再編成される見通し。

アメリカ太平洋艦隊 第16任務部隊(TF16)

「ビッグE」こと空母エンタープライズを基幹とする空母機動部隊。指揮官は猛将と名高いウィリアム・"ブル"・ハルゼー中将である。4月18日に予定されたドゥーリットル空襲の護衛部隊として参加予定であったが、肝心の空母ホーネットがハワイ東方にて潜水艦に雷撃されたことにより沙汰止みとなった。TF16はTF17、18とともに開戦時より戦果を挙げ続けている数少ないアメリカ海軍の部隊である。

アメリカ太平洋艦隊 第17任務部隊(TF17)

「レディ・レックス」こと空母レキシントンと、エンタープライズと同型の空母ヨークタウンを基幹とする空母機動部隊。指揮官は砲術屋であるフランク・J・フレッチャー中将。アメリカ海軍で最大の空母2隻を擁する機動部隊であり、オーストラリア海軍と連携して主に南太平洋において活動している。日本軍のモレスビー攻略作戦を察知し、オーストラリア海軍と共にコーラル・シーで日本軍を迎撃する予定。

アメリカ太平洋艦隊 第18任務部隊(TF18)

「ハッピー・ホーニー」こと空母ホーネットを主力とした機動部隊で、TF16と共に行動し司令長官はハルゼー中将が兼任していた。主力空母がハワイ東方で雷撃され、後送されたことにより残存艦はTF16の護衛艦として行動している。

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